存在しない完全

ただの雑記ブログ

雨はお好きですか?

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「好きな天気は?」
そう聞かれて雨だ、と即答する人がいるだろうか。雨が嫌な天気だと誰が決めたんだ、みたいなポエムチックというか他の人と自分は違うぜ、みたいなアピールなのか、よく分からないことを言う人もいるがなーーにを言ってるんだ。

雨なんて、憂鬱の象徴じゃないか。

足元は靴下までびしゃびしゃ、横風なんて吹いてる日には傘なんて意味を持たない。一日の始まりに、いきなり私のなけなしのやる気を削いでくる。空から止めどなく降り注ぐ水の槍は、どうにか自分を守ろうと上へ向けた盾をすり抜け、私の肩を刺す。

雨の日のいい思い出ってあっただろうか。

朝からかなり強い雨が降っていた。土のグランドに引かれた白線は、試合前なのにもう見えなくなってしまいそうだ。サッカーは雷がならなければ中止にならない、というのがどこに書いてあるのかわからない暗黙のルールだった。

試合開始のホイッスル。グランドに無数に湖ができている。ボールは転がらない。相手選手がキックモーションに入ってボールを大きく蹴り上げた。ように見えたがボールは一ミリも動かず水しぶきが上がっただけだった。ドリブルも、パスもできない。ただ、中学生が大雨の中でバシャバシャ走りまわっているだけだ。ボールはほとんど中央あたりから動かず、試合終了。延長戦、終了。私はいやいや、ちゃんと試合に参加してますよ、みたいな顔をしてチョロチョロとランニングしていた。あれ、ボールに触ったっけな。

PK戦のキッカー1人目はどういうわけか私だった。この試合勝ったらまだ今日試合あるんだっけ?こんなびしょびしょなのに?着替え持ってきたかなぁ。余計な空想に頭を支配されながらもペナルティスポットに向かう。ボールを置けるように不自然に盛られた土。水が溜まりにたまったスパイク。一瞬嫌な予感が頭をよぎる。いやいや、これでも私はチームno1のPK成功率を誇る。いつも通りやればいい。いつも通りに。

雨を吸い込んで3kgは重くなったであろうオレンジの鎧をどうにか動かして、助走を取る。大丈夫だ。大丈夫。

3秒後、右だったか左だったか今ではもう忘れてしまったが、ボールは枠を大きく逸れてボトリと落ちていった。あーあ、やっちまった。

結局、その試合は負けた。

中学生の頃の思い出にしてはよく覚えている方だ。雨は関係なく、自分にとって嫌な記憶だからだろうか。それとも、雨の日に嫌な記憶がないあるから、雨は嫌いなのだろうか。

雨の日はいつも落ち込む。いや晴れの日も落ち込んでるんだけど、余計に。今日だって重く迫った灰色の雲は、窓の外を濡らし続ける。今日も、仕事でミスをした。うまくいかなかった。自分はなにもできないやつなんだと自分で自分を責めてしまう。

いつの日か、ああ、あの年梅雨は、一日もからっと晴れる日がないように、ずっと塞ぎこんでうつ向いてたなぁなんて笑い飛ばせる日が来るのだろうか。
止まない雨はないと言うけれど、心穏やかに過ごせる日は、果たして私に巡って来るのだろうか。
また、私を光指す方へ連れ出して欲しい。木々から射し込むまぶしい木漏れ日が恋しい。
私の心はコーヒー牛乳色に染まった水溜まりへ沈んで行く。

まだ、今年の梅雨は開けない。

やっぱり、雨なんて嫌いだ。f:id:mynorna:20200713203345p:plain