存在しない完全

ただの雑記ブログ

かつて全力だった君へ

今から1ヶ月後の私は、半年後の私は、一年後、10年後の私は、いったいなにをしていてなにを思っているだろうか。そんなことを日々の中でよく考えてしまう。未来の自分は今より心穏やかに、自信を持って過ごせているだろうか。想い描いた未来はそこにあるだろうか。そんな空想の中に潜り込む。未来を変えられるのは今の自分しかいない。そんなことは当の昔に学んだ。頭ではわかっているんだ。それなのに、未来の自分はきっともっとキラキラしていて、輝いているんだろうなと大した努力もしてないのに、期待してしまう。そして今の現状に気付き、落ち込む。

しがないサラリーマンのようなことを言うようだが、中高生のころはよかった。そんな回想をする事が不毛だと知っているけど、思いを馳せてしまう。そこには、あの頃の私には「過去」も「未来」も存在していなかった。あるのは「今」だけ。今日をいきるので精一杯だった。精一杯と言うと苦しみに耐えていたような聞こえかたがするが、そうではない。あの時ああすればよかったとか将来どうしようなんてこと考えたことがなかった。今を、今日一日を、どうやっていくか。今日の授業のこと、部活のこと、夜見るテレビのこと。毎日同じ事を繰り返しだったのに、あの頃の私はひたすら全力だった。その先に何があるかなんて考えたこともなかった。

気がつけばあっという間に高校生になった。あれ?先週くらいに入学したんじゃなかったっけ?時間が流れるのは早いなぁ、と思っているうちに高校は卒業してしまった。

高校生となれば将来について考えなければならない時期である。嫌でも。今思うとなんっっっっにも考えてなかった。本当になにも。田舎の(笑)がつく自称進学校だったから模試はたくさん受けさせられた。当然、その結果を元に大学の合格ライン判定が結果と共に帰ってくる。とりあえずなんか5校くらい書かなきゃいけないから、適当に書いた。なんとなく聞いたことのある頭が良いであろう学校。地元のマンモス校。京都とか、北海道とか、神奈川とか、住んでみたいなと思う地域にある学校。(ちなみに東京の大学は書いたことがない)模試の度に、学校名も、学部もコロコロ変わった。特にいきたい大学もない人が珍しい名前の大学を志望校としてネタ半分で書いたりすることがよくあるらしいが、私のやっていることもそれと大して変わらなかった。

高校1年2年の時点で看護師になるから専門学校へ行くだとか、市の公務員試験を受けるとか、大学へ行って教員になるとか言う話をしているのを聞くと毎回驚かされた。もう、そんなことを考えているんだ。一方私はというとそんな話を聞いて驚きこそするものの、一瞬たりとも焦りの感情が生まれなかった。まあ、なんとなく大学へ行くんだろう。その先はまたどうにかなるだろう。大人になったらなんかそれなりに稼げるカッコいい仕事について、友達もたくさんいて、異性にもモテて、趣味も充実しているだろう。

そう思っていた。別に将来のために何か頑張っているわけではないけど。容姿端麗でもないし、めちゃくちゃ勉強が出来るわけでもないし、音楽やスポーツの才能があるわけでもないけど。どうにかなるよ、きっと。

そう考えていたツケが溜まりに溜まって私にふりかかっている。未来を考えてこなかった自分の未熟さが、あの頃の私の「未来」である今の私を苦しめている。

あの時ああすればよかった、とよく思うけれども過去の自分を恨んだりすることはない。あの頃の私は決して悪くない。未来を知ったら悲しむだろうから、私から君へ、メッセージを残しておこう。

かつて全力だった君へ
君は25歳になった。君は25歳の自分を想像したことがあるだろうか。残念ながらなんとなくぼんやりと描いていた「いい大人」にはなれていない。申し訳ない。本当にごめんなさい。正直に言うと今がどん底である。何にも上手くいきはしない。でも、決して君のせいではない。君は勉強も部活も友達関係も恋愛も家庭環境もぜんぶぜんぶ背負こんでいた君は、間違いなく全力だった。高校生には重すぎるであろう荷物を抱えていた君は、よく頑張っていたよ。でも、だからその分20代で苦しむ時期が来てしまった。仕方ない。誰のせいでもない。未来に絶望が待っているといったら君は悲しむだろうか。では、絶望があるけれどそれを越えた先に輝かしい未来が待っているといったらどうだろうか。まだわからないよ。私はそこまで行っていないから。今の君ができなかったこと考えられなかったこと全てを引き受けて、とことんまで苦しんでやる。そしてもがいてやる。その先の明るい未来を造り出すことを、今君と約束しよう。もう少し待っていて欲しい。そこまで行けたら、また連絡するよ。